2019.10.15

LEATHER

「TOCHIGI LEATHER」

本日はSLOWの鞄や財布などのメインマテリアルである栃木レザーが出来上がる
までの作業風景を一部ご紹介させて頂きます。

栃木レザーでは自然素材のみを使用する「植物タンニン鞣し」を行なっていて
効率化を敢えてしない、昔ながらの「人力」にこだわっています。
通常の2〜3倍も時間を掛け、ゆっくりと丁寧に鞣された革は
柔らかくも強く、永く愛用できる革へ
それを作れるのが国内でも数少ないタンナー(革の鞣し工房)
栃木レザー社なのです。

前鞣し

栃木レザーで使われる原皮は、主にカナダから仕入れています。
牛は(ステア)と呼ばれる去勢された雄の成牛の革で
面積の大きさとしなやかさを備えています。
原皮は腐らないよう塩漬けにされ日本へ輸入されます。

このままでは毛や汚れがついたままである為、鞣し作業の前に
水洗いや脱毛フレッシング(脂肪除去)などの「前鞣し」という作業を行います。

原皮の水洗い

塩漬けされた原皮は「タイコ」と呼ばれる巨大ドラム洗濯機で
24時間かけて塩と汚れを洗い落としていきます。
タイコの内部にはダボと呼ばれる棒状の突起がついており
皮が揉み叩き洗いされるようになっています。
栃木の地下水を使用し、適度な鉄分が含まれた綺麗な水で洗浄されます。

植物タンニン鞣し

「鞣す」は革を柔らかくすると書きます。
皮が柔軟性を持ち、腐敗しない状態になったものを革と言います。
現在では金属製の化学製品で鞣す「クロム鞣し」が一般的ですが
栃木レザーでは伝統的な「植物タンニン鞣し」のみを行なっています。
化学物質を使わずに手間暇をかけた革は堅牢かつ柔軟。
築80年の工場内に、約160ものピット槽と呼ばれるプールが
並ぶ景色は圧巻です。約60名が働く国内最大の鞣し工房にて行う
作業工程の殆どを現在でも人の手で行なっています。

鞣し剤のミモザをパウダー状にしてお湯と混ぜ,この原液をタンニン槽へ
継ぎ足していきます。草木の中に含まれているタンニン(渋)と
革のコラーゲン(たんぱく質)が結合し、生物である皮は
半永久の命をもつ革へと変化します。

ピット槽はタンニン液の濃度別に4段階に分けられ、濃度の薄い順から
1週間ずつ漬けられていきます。鞣しには約1ヶ月かかり
長い物になると半年以上漬け置きされます。

自然乾燥

鞣しが終わり、革の内部の水分まで乾かすために約10日間、風の通る日陰で
自然乾燥させます。この時点で革は1枚20キロ。これを特製の竿に一枚一枚
等間隔にかけて干します。この巨大な革を干す作業も全て人力で行います。

ハンドセッター

厚手の革や伸びにくい革は、セッター後、さらにハンドセッターと呼ばれる
機械を使い、繊維に沿って伸ばしていきます。仕上げに「ハガネ」と呼ばれる
ヘラのような工具で毛穴を潰します。
波打っていた革が嘘のように平らに、輝きを増していく様子はまさしく職人技。

個性の有る本来の革の表情

シワや、血筋、ケンカ傷などタンニン鞣しだからこそ
固体差が浮き上がります。SLOWの製品にはこの自然な表情を
含めて一つのデザインとして商品に反映させています。
店頭に来て鞄の個体差を選んだり将来のエイジングをイメージして
自分にぴったりな表情を探してみるのもオススメです。

次第になじむ、自分だけの逸品

SLOWで使われている栃木レザーは同社に依頼をして製作して頂いている
特注品。コシがありながらもソフトな質感が特徴です。
下ろしたての時は繊維の目が細かいため少しハリがある印象ですが
使い込んで繊維が柔らかくなってくると持ち主の使い方によって少しずつ変化し
本当の使い心地を体感して頂けます。
何と言っても革の味わいが増し、自分だけの逸品に変化して行く事が楽しめます。

年々変化を感じて頂きやすい、ヌメ革製品を一度使うと
 他のもではもの足りなく感じてしまうかもしれませんね。
今回は全部で約20工程の内の一部を紹介させて頂きました。
SLOWの真髄、職人技が少しでも伝われば幸いです。